稲垣研究室の番場浩平(博士前期課程2年)さんらによる研究により、系統樹の二分岐を評価する新規手法が提唱されました。この手法は広く使われている従来手法のブートストラップ法を補完する役割を持ちます。さらにこの提案手法を系統樹の各二分岐に対して順次実行するソフトウェア『AUTOEB』の開発も行われました。これらの成果は様々な分子系統樹におけるより深い考察の一助となることが期待されます。本研究の成果はIPSJ Transactions on Bioinformaticsに掲載されました。
学生の論文
林牧子さんらによる研究成果
中野裕昭研究室の林牧子(博士後期課程3年)さんらによる研究により、アオウミウシの卵から成体までの成長過程が明らかになりました。実験室内におけるイロウミウシ科の卵から成体までの飼育の、世界初の報告です。本研究の成果はScientific Reportsに掲載されました。

黒木祥友さん水野陽介さんらによる研究成果
丹羽研究室の水野陽介さん(博士後期課程3年)と黒木祥友さん(博士後期課程:当時)らによる研究により、モデル動物キイロショウジョウバエの腸管幹細胞での「特異的」遺伝子発現操作ツールとして関連研究分野で世界的に広く用いられてきた手法論が、実は昆虫の発生と生理に顕著な影響を与える幼若ホルモンの産生器官(アラタ体)での遺伝子発現にも影響を与えていることを報告しました。本成果は、従来の研究でこのツールを用いることの問題点を提示し、関連研究分野に対して警鐘を鳴らした意義があります。本研究の成果は Scientific Reportsに掲載されました。
大場裕介さんらによる研究成果
岩井研究室の大場裕介さん(博士課程3年)らの研究により、植物が持つ高い自己治癒力の仕組みの一端が明らかになりました。茎を傷つけると、切断部の周辺の細胞が分裂を開始し、傷害を受けた組織が再生・癒合することで機能が回復します。頂芽を切除すると、オーキシン輸送が減少し、組織の再生・癒合は起こりませんが、傷口にオーキシン処理することで再生・癒合能力が回復します。本研究では、原形質連絡結合タンパク質(PDCB2)が、組織癒合過程でオーキシン応答の変化を介して、形成層/篩管領域の成長拡大の誘導に影響を与えることを発見しました。本研究の成果は Journal of Plant Research に掲載されました。
海老原さんらによる研究成果
丹羽研究室の海老原佳奈さん(博士後期課程3年)らによる研究により、真菌(カビ)の生産する二次代謝物に、昆虫ステロイドホルモン生合成に必須の酵素を阻害する活性があることが明らかになりました。環境に優しい昆虫制御型農薬の将来的な開発に役立つことが期待されます。本研究の成果は PLoS ONEに掲載されました。
林靖人さんらによる研究成果
和田茂樹研究室の林靖人(博士後期課程3年)さんらによる研究により、プランクトンを起源としたマリンスノーの物理強度の定量化が行われ、海洋のCO2吸収過程がマリンスノーの物理的崩壊に強く依存することが明らかになりました。本研究の成果は Frontiers in Marine Scienceに掲載されました。
黒木祥友さんらによる研究成果
丹羽研究室の黒木祥友(博士後期課程3年)さんらによる研究により、昆虫が冬季に生殖休眠をする際に関わる神経回路が明らかになりました。本研究の成果は
Developmentに掲載されました。
星野涼さんらによる研究成果
丹羽研究室の星野涼(博士後期課程2年)さんらによる研究により、ショウジョウバエの栄養と交尾に依存した生殖幹細胞の増殖調節に関する新しい神経内分泌メカニズムが明らかになりました。本研究の成果はScience Advances に掲載されました。
また本論文は、Faculty Opinionsにて重要論文として選出されました。
湯本景将さんらによる研究成果
菅平高原実験所・津田研究室の湯本景将(博士後期課程1年)さんらによるエゾハルゼミの抜け殻を用いた研究により、羽化後おおよそ1週間以内の抜け殻であれば、比較的高い確率で、成虫を用いたときと同等の良好な遺伝子型の決定ができることを明らかにしました。本研究成果はFrontiers in Insect Science誌に掲載されました。
本専攻の谷春菜さんらによる研究成果
中田研究室の谷 春菜 (博士後期課程2年)さんらにより、ヒトの老化に伴うエネルギー欠乏に核遺伝子SHMT2が関係していることに注目し、Shmt2遺伝子破壊マウスを用いて研究を行った結果、Shmt2の枯渇が胚発生段階においてもミトコンドリア機能低下および細胞分裂・分化能の阻害を引き起こす事が明らかになりました。本研究の成果はScientific Reports誌に掲載されました。
本専攻の城倉圭さんらによる研究成果

下田臨海実験センター稲葉一男研究室の城倉圭さん(後期課程3年)らによる研究で、クシクラゲが虹色に輝く謎に迫る分子の実態が明らかになりました。クシクラゲは、数万本の繊毛が規則正しく束になった巨大繊毛「櫛板」により遊泳を制御しています。櫛板の高い配向性は光を干渉させ虹色の構造色を作ります。今回繊毛同士をつないでいるクシクラゲ特異的な構造タンパク質の同定に成功しました。本研究の成果はCurrent Biology誌に掲載されました。
本専攻の木田裕哉さんらによる研究成果
桑山秀一研究室の木田裕哉さん(博士前期課程1年)さんらによる研究により、細胞性粘菌発生後期における走化性運動の役割が明らかになりました。
本研究の成果はDifferentiationに掲載されました。
本専攻卒業生の天久朝恒さんらによる研究成果
丹羽研究室の天久朝恒さん(生物科学専攻後期課程卒業生)らによるキイロショウジョウバエを用いた研究により、卵子を作り出す生殖幹細胞の増殖が腸から分泌されるホルモンによって調節されることを明らかにしました。本研究の成果はPLOS
Biology に掲載されました。

Midgut-derived neuropeptide F controls germline stem cell proliferation in a mating-dependent manner (2018) Ameku T, Yoshinari Y, Texada MJ, Kondo S, Amezawa K, Yoshizaki G, Niwa Y, Niwa R. PLOS Biology
本専攻の山川隼平さんらによる研究成果
和田洋研究室の山川隼平(生物科学専攻前期課程2年)さんらによる研究で、ヒトデの変態過程はレチノイン酸シグナル経路により制御されていることが明らかになりました。
本研究の成果はEvoDevoに掲載されました。
The role of retinoic acid signaling in starfish metamorphosis(2018) Yamakawa S, Morino Y, Honda M, Wada H. EvoDevo 2018 9:10
本専攻の岡島智美さんらによる総説
鶴田文憲研究室の岡島智美(博士前期課程2年)さんらの研究に関連する総説がNeural. Regen. Res.に掲載されました。
Microglial dynamics during brain development. (2018) Okajima T, Tsuruta F. Neural Regen Res. 13(2):222-223.
本専攻卒業生の塩谷天さん山本知奏さんらによる研究成果
丹羽研究室の塩谷天さん(生物科学専攻後期課程卒業生)および山本知奏さん(生物科学専攻前期課程卒業生)さんらによるキイロショウジョウバエを用いた研究により、抗酸化物質として有名なグルタチオンには、抗酸化作用とは別に、ステロイドホルモンと呼ばれる生理活性物質の生合成に必須の役割があることが明らかになりました。本研究の成果はアメリカ遺伝学会誌 Genetics に掲載されました。
Enya S, Yamamoto C, Mizuno H, Esaki T, Lin H-K, Iga M, Morohashi K, Hirano T, Kataoka H, Masujima H, Shimada-Niwa Y, Niwa R (2017) Dual Roles of Glutathione in Ecdysone Biosynthesis and Antioxidant Function During the Larval Development in Drosophila. Genetics 207: 1519-1532.
本専攻の金材炫さんらによる研究成果
鶴田文憲研究室の金材炫さん(博士後期課程4年)さんらによる研究により、RNAスプライシング制御因子の新しい核内局在機構が明らかになりました。
本研究の成果はBiochem Biophys Res Commun.に掲載されました。
KLHL7 promotes TUT1 ubiquitination associated with nucleolar integrity:
Implications for retinitis pigmentosa. (2017) Kim J, Tsuruta F, Okajima T, Yano S, Sato B, Chiba T. Biochem
Biophys Res Commun. 494(1-2):220-226.