生物学学位プログラムの概要

学位プログラムリーダー

石田 健一郎 教授

「生物を知る」こと、これが生物学のめざす目標です。「生物を知りたい」と思うことは人類の純粋な知的欲求の一つです。また、生物を知ることは、私たち自身を知ることにもつながります。さらに、病気の理解や医薬品の開発、食料の増産や新しい食料の開発、および、地球環境変動や生物多様性保全への対応にもつながります。地球の歴史において、生物が地球環境に与えた影響は非常に大きいものであり、こうした生物の進化を調べることで、新しい物質や素材の開発につながるかも知れません。生物学は実にさまざまな科学技術の進展を支える基礎科学の一つなのです。あなたの一つの発見が、複数の分野の飛躍的なイノベーションをもたらすことだってあるかも知れません。このような「発見」は、研究者の純粋な興味に基づく自由で柔軟な発想から始まる研究から生まれるのです。たとえ、それが小さな発見だとしても、それらを積み重ねれば大きな「知の創造」につながるのです。生物学学位プログラムでは、そのような「知の創造」を通じて、独創的な研究の遂行に必要な研究能力とその豊かな学識を持ち、様々な分野への応用的視点も備えた、好奇心あふれる研究者や高度職業人を養成します。取得できる学位は、前期課程では修士(理学)、後期課程では博士(理学)です。 これらの学位を修めるための新しいカリキュラムのもと、学生一人ひとりが自身の知的好奇心を養い、深く専門分野に習熟するとともに他分野にも視野を広げ、知の探求者として、技術者として、社会のリーダーとして活躍できる人材へと成長できるよう、環境を醸成し全力でサポートします。

特色

生物学学位プログラム(博士前・後期課程)は、系統分類・進化学、生態学、植物発生・生理学、動物発生・生理学、分子細胞生物学、ゲノム情報学、先端細胞生物科学、先端分子生物科学の8分野において独創的な研究の遂行に必要な研究能力とその基盤となる豊かな学識を持つ研究者および高度職業人の養成を目的としています。基礎生物科学を中心としていますが、前期課程においては応用も視野に入れた教育研究活動を展開しています。8つの分野はそれぞれ独立したものではなく、相互に補完し合いながら研究・教育を推進する体制となっています。また本専攻は、筑波研究学園都市や東京都内の研究水準の高い研究機関(産業技術総合研究所、理化学研究所、農業生物資源研究所、東京都医学総合研究所、国立感染症研究所など)と連携大学院方式による協力関係を結んで広範な教育研究活動を行っています。8分野にはこれら研究機関に所属する研究者が客員教員として担当する分野もあり、学生を受け入れています。

8つの分野

系統分類・進化学
生命の誕生以来、生物は三十数億年にわたり命をつなぎ多様化し続けて「生命の樹」を形づくってきました。本分野では、分子から細胞、個体、そして各分類群のレベルで多様性を生む進化原理を探求するとともに、生物の系統関係と多様性の理解を進めることにより、進化の視点を基礎として多様な生命現象を研究する能力を養うための教育研究を行います。
生態学
生理、行動、個体群動態、生物間相互作用に注目した群集動態、そして非生物的要素も考慮した物質循環へとスケールアップしながら、生態学の基礎的側面を探求しています。さらにその知見を里山や沿岸・海洋生態系の保全などに応用しつつ、生物多様性の減少や地球温暖化の進行など、緊急の対応が求められている21 世紀の生態学的問題にも積極的に取り組んでいきます。
動物発生・生理学
発生生物学と動物生理学は21世紀の生物学を代表する先端的研究分野であり、分 子生物学、遺伝学、神経生物学などを統合する新しい学問領域が形成されつつあります。本分野では、ショウジョウバエ、ホヤ、線虫、イモリ、マウス等の多様な生 物を材料としつつ、遺伝子、分子、細胞レベルを包括する多様な研究と教育を推進しています。
分子細胞生物学
分子細胞生物学分野では、生命の基本単位である細胞の構造と機能に着眼し、原生生物から植物、さらには動物にいたる多様なモデル生物を活用しながら細胞機能の獲得・発揮・調節や細胞機能の破綻病理に関する基礎研究を行っています。これらを通して、細胞から個体レベルの生命活動の恒常性や基礎分子病理を探求できる研究力を養います。
ゲノム情報学
ゲノムに刻まれた遺伝情報の複製と子孫への伝達機構、発現とその調節機構を分子・細胞・個体レベルで探求するとともに、さまざまな生物のゲノム情報を解析し、「生命の樹」のもとで進化の視点を基礎として比較することにより、生命現象を普遍性と多様・個別性の両側面から理解することを目指して教育研究を行います。
先端細胞生物科学
先端的な技術を駆使し、医・薬・工・農学への応用も見据えて展開されている最前線の細胞生物科学に関する教育研究を行います。理化学研究所、産業技術総合研究所、国立感染症研究所、東京都医学研究機構など研究水準の高い研究機関との連携大学院方式による協力関係のもとで、これら機関に所属する研究者が客員教員として研究指導を担当します。
先端分子生物科学
先端的な技術を駆使し、医・薬・工・農学への応用も見据えて展開されている最前線の分子生物科学に関する教育研究を行います。理化学研究所、農業生物資源研究所など研究水準の高い研究機関との連携大学院方式による協力関係のもとで、これら機関に所属する研究者が客員教員として研究指導を担当します。